わかりあえる瞬間
ろくに人間関係を構築せず、高校も大学でもろくに友達ができず、ずっとロックとかパンクとか聴いていた。
それは、それらの音を好む理由は、ある種類のアウトローでつまはじきものなのだから友達ができなくても仕方がないっていう慰めを含んでいたような気もする。
音楽の話をしても応えてくれる人間は一人いたかいないかくらいで、事実だれにも理解されないのだから、より自分を否定するか、聴いてきた音楽に疑問を抱くばかりで、はたして自分はなにもかも、それでよかったのかをずいぶんかんがえてはやめていた。
しかし、出会った。
新しい職場で自己紹介趣味欄に「音楽鑑賞」とかいたのが発端だった。
その風貌からは予想できなかったひとがぬろーっと話しかけてきて「何を聴くの」と。
ありのままにこたえてうまく噛み合わなくても微妙な空気になりそうなので逆に質問をしてしまったが「パンク」とかという発言にほぼほば確信をもってuk,us初期パンクに精通する人間だと思った。オーラは八周くらい回ってただならぬものだったからだ。
バズコックスという発言に呼応したように次々と話が広がっていった。
他人だとか大きく離れた年齢とかぜんぜん関係ないくらいに距離がちかくにある気がする。
そして、この話をすると親は口を揃えていった。オタクは引かれ会うと。