夢の中で
父方の祖母のことは、いつしか厄介者だと思っていた。
それでも、なるべくは良い孫でいたと思う。
その一つ一つの積み重ねは「亡くしたときに後悔しないため」という考えだった。
自分にとって温かいおばあちゃんという一般的な像はなく、生きていながらにして死した存在が祖母であったのだ。
現に、亡くなって数年たつけれども一度も悲しいと思ったことはない。
しかし、夢で「一緒にいた何でもない時間」が再生された。
夏だったのか、春だったのかは定かではないが、天気がよく気持ちのよい風が吹く午後の居間で
何を語るでもなく過ごした時間が蘇った。
それはおそらく「いつまでも続く」安寧だったんだと思う。
そんな夢を見て今一度『あ、祖母は死んでいたんだったなぁ…』と認識して、少し寂しかった。